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2020年6月11日 (木)

風葉和歌集 はじめに

 この世には、物語の歌は、星の如くあまた詠めり。


 今月から『風葉和歌集』の現代語訳を不定期にですが、連載を開始します。


 『古今和歌集』が撰進されて以来、勅撰和歌集は二十一集、私選集や私家集なども含めると、数多くの和歌集が存在します。
 中でも『風葉和歌集』は、他に類を見ない特異な和歌集です。

 『風葉和歌集』は、鎌倉時代、文永八年(一二七一年)十月に、後嵯峨天皇皇后の大宮院西園寺姞子の下命により総覧された和歌集です。
 全二十巻で、末尾二巻は散佚し、現存するのは十八巻。
 歌集の冒頭に序を供え、春夏秋冬、神祇、釈教、離別、羈旅、哀傷、賀、恋、雑の部立と構成は、勅撰和歌集に準じています。

 『風葉和歌集』の一番の特徴は、他の勅撰和歌集と違い、物語の歌だけを集めた和歌集だということです。
 現実に生きた人間の歌ではなく、虚の世界である物語で詠まれた歌を集めた歌集は、他に例を見ません。
 『千載和歌集』や『続古今和歌集』に、物語の歌を実作者の名で収録された例はありますが、詞書に物語で詠まれたことは記されておらず、「題しらず」とされています。
 物語でその歌が詠まれた事情は説明されないのでは、歌の風情が真に理解されない恐れがあります。
 そこで、物語の歌を勅撰和歌集に選入することは、無理が生じると判断し、大宮院の命で大宮院権中納言こと京極為子を始めとする女房たちが物語の歌を選び、さらに為子の祖父である藤原為家が助言し、物語の歌だけを集めた『風葉和歌集』が撰進されたと推測されます。(※樋口芳麻呂氏「『風葉和歌集』の本性」中世文学40を参照)

 歌の配列は、春夏秋冬の景物の組み合わせ、物語の別を越えて登場人物の立場や歌の心情に従っています。
歌の作者名の表記は、「物語名 登場人物名」の形式をとり、詞書と歌の内容から、散逸物語の復元に貴重な資料となっています。
 ただし、『風葉和歌集』の詞書は、本文から大きく簡略化されており、歌の作者名は、「詠み人しらず」として明確に表記されない場合もあります。

 『源氏物語』のような有名作ならともかく、現代の読者には、一般に知られていない物語、まして散逸物語の歌を個別に詠んでも、物語の内容を把握しきれるか――
 『風葉和歌集』に採録された約二百の物語は、そのほとんどが散佚しています。
 残された資料から推察しても、物語の内容は知らないも同然です。
 今回『風葉和歌集』を現代語訳するにあたって、物語の内容と歌をより理解することを目的に、構成と配列を変えて、物語ごとに訳すことにしました。
 『風葉和歌集』は、散逸物語の復元を目的に選集されたわけではないので、物語別に歌の構成と配列を変えてしまうのは、歌集の意義を無視した行為です。
 ですが、物語の内容を把握した上で『風葉和歌集』を読み直したら、物語歌集という特異な歌集に新しい視点が見えてくるのではないか、さらに、失われた物語を蘇らせたいという欲求は止まることがないので、歌集ではなく物語の抄訳として訳すことにしました。

 現存物語については、『風葉和歌集』の詞書に加筆し、採録歌のみで構成します。
 散佚物語の内容についても、『風葉和歌集』の詞書と歌の内容の他に、先行論文を参考にして復元します。
 物語の数が多いので、題名のあいうえお順に、完成した物語からアップしていきます。


 カテゴリーは、以下のようになります。
古典現代語訳風葉1…序・あ行物語
古典現代語訳風葉2…か行・さ行物語
古典現代語訳風葉3…た行・な行・は行物語
古典現代語訳風葉4…ま行・や行・わ行物語/物語不明作/物語名・詠み人不明作


 今回現代語訳するにあたって、底本にしたのは以下のとおりです。
底本
『和歌文学大系50 物語二百番歌合/風葉和歌集』三角洋一・高木和子著 明治書院

『王朝物語秀歌選』上下 樋口芳麻呂校注 岩波文庫


 『風葉和歌集』に関する主な参考文献は、以下のとおりです。
主要参考文献
『中世王朝物語・御伽草子事典』神田龍身・西沢正史編 勉誠出版

『「風葉和歌集」の構造に関する研究』米田明美著 笠間書院


 物語ごとの参考文献は、そのつど記載していきます。


 まずは『風葉和歌集』の序と散逸物語「相住み苦しき」からお読みください。


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