フォト
無料ブログはココログ

鉱石パワーストーン本

観てから読む?読んでから観る?映画ドラマ本

映像化してほしい本

手塚治虫本

« どろろ百鬼繚乱草紙まれびとの章18 | トップページ | 次回予告 雨宿りの巻 »

2020年5月 3日 (日)

万代の巻あとがき

 令和二年初の『どろろ百鬼繚乱草紙』である。
 主役二人が初めて組んでの妖怪退治。
 カラーアニメ版の万代の巻が、展開が早くてあっという間に片づいてしまったのが物足りなかったので、こだわって納得がいくまで書いていたら、完成まで長時間かかり、ページ数も多くなった。
 この執筆ペースだといつ完成するかわからないので、もっと早く書かないといけないと焦るのだが。
 思い通りにならないのが人生。

 

 万代の巻は、基本原作通りで筋は変えていないが、いつものように、思いきり加筆はした。

 

 冒頭の魚採りシーンは、普通は魚を釣ったんだろうということになるが、釣り道具を持っていない百鬼丸がどうやって魚を採ったのかという素朴な疑問から展開。
 カラー版アニメでは、百鬼丸が刀で刺して採るという方法だった。
 本創作二次小説では、一応聖なる刀という設定なので、刀を魚採りに使うという採り方にはしたくなかったので、シンプルに手づかみにした。
 魚の手づかみ、やってやれないことはない。

 

 どろろと百鬼丸があけびを採って食べるシーンは、原作にはないが、カラー版アニメで二人が美味しそうに食べていたので、書いてみたかったから書いた。

 

 どろろが歌う歌は、「閑吟集」五十二・五十三・五十四・五十五番歌から採った。

 

 原作では、どろろと百鬼丸が村にやって来てから万代を倒すまで二日かかっているので、時間の短縮をした。
 原作では百鬼丸が盗まれた金を見つけた後、翌日に化け物が村を襲うが、本創作二次小説では、竹藪ですぐに化け物が襲ってきた「どろろと百鬼丸伝」を参考に時間を早めた。
 よって、どろろと百鬼丸は村に来てから約十二時間で化け物退治したことになる。
 カラーアニメ版は、井戸から脱出してすぐに退治した。

 

 金小僧の設定は、原作のまま金の精とした。
 虫プロ版アニメ・辻真先版小説・「どろろと百鬼丸伝」も、金の精となっている。
 カラー版アニメでは、万代が殺したお遍路が化けた設定で、六部殺しバージョンになっていた。
 金の精と殺人の被害者。
 どちらが怖いかというと、被害者が化けた妖怪のほうが、共犯者の罪悪感と恐怖が増すと思うが、本創作二次小説では、村人は万代と金小僧の正体を知らないという原作沿いの設定なので、金小僧は金の精のままにした。

 

 村の名前は、原作では言及されていない。
 原作で万代が正体を告げた時、「この如月谷に年ふりたる女夜叉にそうろう」とあるので、如月→春→梅の連想で梅枝村と命名した。
 よって、村の名産が梅というのは、創作である。

 

 どろろと百鬼丸が最初に出会う村人は、手塚治虫スターシステムからチックとタックのつもりで書いた。
ちょい役だが、「ジャングル大帝」や「火の鳥ヤマト編」など、登場作品でいい味のあるコンビなので、登場してもらった。

 

 万代の出自は、原作では村が化け物に荒らされた後、「万代さまがおいでになって、村にキフをしてくださいました」とあるだけで、どこの誰とも、村とどんな縁があってやって来たのか説明がない。
 辻真先版小説では、どこからかやって来たお姫様、「どろろと百鬼丸伝」では、村の庄屋の娘という設定になっている。
 カラーアニメ版では、万代が村を乗っ取ったことで、権力を握っている。
 絶大な権力を握るために、万代は村に大金を与えた訳だが、それなりの身分がなければ村人も信用しないと思った。
 本創作二次小説では、応仁の乱以後、公家が京から地方へ避難した史実を基に、万代の出自を大納言の妻という設定にした。

 

 万代の夫の大納言、京極六条光次と侍女の右近は、オリジナルキャラクター。
 手塚治虫スターシステムによる演者は、大納言は「ミクロイドS」のノラキュラ、右近は「人間昆虫記」十村十志子。
 万代は尻尾を隠すため、病を装っていたが、それなら病人の世話をする者が必要になる。
 万代の正体を知っていたカラー版アニメならともかく、正体を知らない村人が、病人の世話をしないというのは不自然である。
 そこで、最低一人は共犯者がいなければならないということで、万代の侍女、右近のキャラクターを配置した。
 たった一人の共犯者と村中の人間が共犯者。
 どちらにしても、人間の欲深さは恐ろしい。

 

 化け物の名前は、サンデー版と単行本版では無かったが、冒険王版で「ごろんぼう」と命名されていたので、そこからとった。
 ごろんぼうという名前の妖怪は、探した限り見つからなかったので、手塚治虫の創作と思われる。
 なぜ手塚治虫はごろんぼうと命名したのか気になるが、資料が残っていないので、ごろんぼうの「ごろん」が雷鳴のような声に聞こえるので、村人がごろんぼうと呼ぶようになったと創作した。
 プレイステーション版では、タタリと命名されている。

 

 百鬼丸が取り戻した体は、原作では右腕だが、今後も両腕に刀を仕込んだアクションを書きたいので、左耳に変更。
 辻真先版小説でも耳を取り戻している。
 虫プロ版アニメとプレイステーション2版では左足、カラー版アニメでは神経、「どろろと百鬼丸伝」では両目を取り戻した。
 生まれて初めて音を、人の声を聞いた人間の反応としては、原作や虫プロ版アニメでは百鬼丸は嬉々としていたが、映画やカラー版アニメのように驚き、うるさがるのが正解か。
 個人差もあるだろうし、当事者にしかわからない。
 なので、本創作二次小説の百鬼丸は耳を取り戻しても、過度に喜びも厭いもしないが、耳で聞くことに慣れない感じにはした。

 

 本巻にて百鬼丸は万代を倒したわけだが、村人からは英雄どころか化け物と同一視されて追い出される。
 神話では、化け物を退治したら英雄として歓迎される。
しかし、万代の正体を知らずに恩人と崇めていた村人にとって、万代は神であり、百鬼丸を追い出したのは、万代を殺した百鬼丸は神殺しの大罪人だった。
 辻真先版小説と「どろろと百鬼丸伝」では、万代の正体を知らなかった方がよかったと村人に言わせている。
 カラー版アニメでも、十二の鬼神は百鬼丸の体を奪った魔と、国の繁栄をもたらす神の両方の面を持っている。
 魔物による被害が大きいにもかかわらず、もたらされる富と繁栄を甘受する人間にとって、魔物退治した百鬼丸は、人助けどころかお節介なことをしたことになる。
 万代の巻を書いていて、百鬼丸は魔物退治の英雄と神殺しの罪人の二面性を持っていると思った。

 

 

 今の世の中、未知の病が流行り、誰もが怯え恐れている。
 勇気を持って戦う人たちもいる。
 病に対する恐怖から、差別や偏見をする人もいる。
 自分は大丈夫だろうと油断して、享楽に耽る人もいる。
 何を優先させるかは人それぞれだが、一番に大切なのは、命を守ること。
 自分の命も。
 誰かの命も。
 それはいつでも、どこでも、変わらないことだと思う。

 

 

*参考文献
『新版月と暮らす 月を知り、月のリズムで』藤井旭 誠文堂新光社

 

『宙ノ名前』林完次 光琳社出版

 

『冒険手帳 火の起こし方から、イカダの組み方まで』谷口尚規・著 石川球太・画

 

『夜食のススメ 東京自給自足生活』茸本朗 星海社新書

 

『四季の摘み菜12カ月 健康野草の楽しみ方と料理法』平谷けいこ ヤマケイ文庫

 

『日本の七十二侯を味わう楽しむ』広田千悦子 三笠文庫

 

『イラストで楽しむ日本の七十二侯』アフロ 中経の文庫

 

『にほんのいきもの暦』公益財団法人日本生態系協会 角川文庫

 

『閑吟集 宗安小歌集』新潮日本古典集成 北川忠彦校注 新潮社
 「閑吟集」五十二・五十三・五十四・五十五番歌

 

『国宝「源氏物語絵巻」を読む』清水婦久子 和泉書院
 第七章復元模写の問題点

 

『日本の色・世界の色』永田泰弘監修 ナツメ社

 

『図解 日本の装束』池上良太 新紀元社

 

『かさねの色目 ――平安の配彩美――』長崎盛輝 京都書院

 

『調香師の手帖 香りの世界をさぐる』中村祥二 朝日文庫

 

『戦国時代のハローワーク 職業図鑑』株式会社ライブ編 カンゼン

 

『中世武士選書第23巻 朝倉孝景 戦国大名朝倉氏の礎を築いた猛将』佐藤圭 戎光祥出版

 

『最新研究が教えてくれる! あなたの知らない戦国史』辰巳出版

 

『幻想世界の住人たちⅣ〈日本編〉』多田克己 新紀元文庫

 

『図説日本未確認生物事典』笠間良彦 角川ソフィア文庫

 

『怪獣生物学入門』倉谷滋 インターナショナル新書

 

 

 

« どろろ百鬼繚乱草紙まれびとの章18 | トップページ | 次回予告 雨宿りの巻 »

創作二次小説どろろ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« どろろ百鬼繚乱草紙まれびとの章18 | トップページ | 次回予告 雨宿りの巻 »

最近のトラックバック

2020年9月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30