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2019年9月 1日 (日)

藤原氏の栄華の終焉……『籬の菊』

 古典のような歴史小説だわ。 

 前から読みたかった文芸社の歴史文芸賞最優秀賞受賞作、『籬の菊』を読んでみて、これは最優秀賞受賞したのも当然と思いました。

 時は後冷泉天皇の時代、東宮の姫に仕える女房、兵部は、父親が早くに亡くなったために、行き遅れの身の上を嘆いていました。

 乳母子の雛子が大臣のお手付きとなり、懐妊して玉の輿に乗ったものですから、鬱屈は募るばかり。

 ついには主人である大君に、「誰ぞ良き男君あらば、仲立ちさせ給え」とお願いします。

 それが兵部の運命の変わり目。

 本人はちっとも気づきませんが。

 そんな中、東宮御所に鵺が現れたり、雛子が呪詛されて闇やつれてしまったり、挙句の果てに、兵部自身も穢れに侵されてしまう!

 後冷泉天皇の東宮といったら、異母弟の後三条天皇。

 後三条天皇が東宮時代に、藤原頼道から盛大に嫌がらせされたことは歴史上有名。

 『籬の菊』は、後三条天皇が雌伏の時を経て、即位する前後を描いていますが、その中で兵部が乳母子を、東宮を助けるためにとった行動が、大君へしたお願いが成就する話の流れは、うまいなぁ、面白いなぁと思わず唸ってしまいました。

 ネタバレしてしまいますが、兵部こそ、後三条天皇に寵愛された源基子。

 三条天皇の第一皇子、小一条院を祖父に持ちながら、父が源氏に臣籍降下したために、皇女、女王に生まれることができなかった出生に、不満たらたらでしたが、宮仕えの中で、大君の器の大きさや、後三条天皇こそが帝位につくべき人物と認め、自分の妬み心を反省して生きるという人物設定されてます。

 こんな基子だったから、後三条天皇も寵愛したんだと思える話でした。

 でも、基子が生んだ皇子二人は帝位につくことはできず、第一皇子である白河天皇が栄えることになるのですから、人生はうまくいかない。

 自の文は現代語で、セリフは平安時代のものなので、歴史小説でありながら古典読んでいる気分になります。

 摂関政治から院政への過渡期を切り取った歴史小説としては、面白い読み物でした。

 作者の阿岐有任には、白河天皇の周囲の女性を主役に続編を書いてもらいたいです。

 本作では兵部の手紙を読んで、壺切りの太刀を取り戻すべく即動いて、兵部と協力的でしたが、皇位継承となると、そうはいきません。

 白河天皇は、自分の子孫に皇位継承させるべく、あれこれしましたからね。

 

 ↓侍女から御息所、女御へ

籬の菊 (文芸社文庫)

 

↓道長死後から頼道時代の藤原氏と後三条天皇のことが記載されています

新編日本古典文学全集 (33) 栄花物語 (3)

 

↓後三条天皇が登場する作品
夜露姫

 

 

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