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2019年3月 1日 (金)

これで最後『由利・三津木探偵小説集成4 蝶々殺人事件』

 あーあ、これでおしまいかぁ……
 『由利・三津木探偵小説集成』も「蝶々殺人事件」で完結。
 主に昭和10年代に活躍した二人の物語を読み終えて、寂しいです。
 「盲目の犬」は、凶暴な犬が人を襲った事件。
 タイトルと設定から、ホームズ物の「ヴァスカビルの犬」思い出しました。
 事件のあらましは、狂犬に襲われで死亡した医者は、実は妻とその愛人による殺人だと警察に匿名の知らせがあったことから、単なる事件から殺人事件の様相になります。
 我らが由利先生と三津木は、本当に妻と愛人が犯人なのか、疑問に思い、真相を追います。
 犯人は、妻と愛人ではなく、意外というか、やっぱりというか、怪しくない人物が実はあやしかったです。
 
 「血蝙蝠」は、廃墟となっている屋敷に謎の怪人が現れるシーンから始まるので、おどろおどろしさ一杯です。
 廃墟で映画女優の遺体が発見され、発見者の道代も狙われる。
 彼女から助けを求められた三津木は、由利先生に相談、事件の謎を解き明かします。
 犯人の目的は、道代が相続した遺産。
 女優は道代と間違って殺されたと訳でした。
 人間の欲深さが殺人を呼んだ……
 「嵐の道化師」は、若い男女の心中から始まります。
 父親同士が仇の辰弥と環は、結婚を認められず、将来を悲観して心中――しようとした時、愛犬が咥えてきた小指を見て、びっくり仰天、しかもその指が環の父親のものだから、何があったのかと、心中は中止。
 そして辰弥の父が謎の道化師に殺される場面に出くわします。
 犯人は環の父親か?
 由利先生と三津木が若い二人の為に犯人を捕まえ、事件を解決するのですが、今回の事件の動機も金、でした。
 辰弥の父親も、人から怨みを買っていて、殺されてもしかたがないなーという人物でしたので、同情の余地なし。
 辰弥と環は無事に結婚して、環の父親も濡れ衣が晴れ、ハッピーエンド?
 「菊花大会事件」は、爆破事件と菊の花の展示会が点と線で結ばれています。
 赤と白の菊の花の配列を記載したメモ。
 これが爆弾をしかけた場所を示した暗号だと宇津木俊助とその友人、兵頭麟太郎は見破ります。
 ん?
 宇津木?
 三津木じゃないの?
 解説によると、名前の表記ゆれということで、この作品もシリーズに含めるとのこと。
 現代だったら、置換機能使ってすぐに変換できるのにと思いました。
 兵頭も、名前が麟太郎だから、由利先生でいいんじゃない?
 でも、学生時代の友人という設定だから、由利先生とは別人と見なさなくちゃダメですね。
 発表されたのが昭和17年で、戦争の気配が作品中に色濃く滲んでいます。
 時代ですね。
 「三行広告事件」は、新聞広告に載った三行広告に秘められた陰謀を、由利先生が気づき、三津木と助手の三千代とともに事件を防ぎます。
 この作品も戦争とは無縁でいられない。
 そして、はっきりと米英が敵と由利先生は言い、銃後の治安、国家保全のために戦うと告げます。
 横溝正史はどんな気持ちで由利先生にこのセリフを言わせたのか。
 「憑かれた女」は、厳格に悩む女、エマ子が巻き込まれる殺人事件の謎を、由利先生と三津木が解きますが、犯人が意外で、全然検討がつきませんでした。
 エマ子の狂気が男に利用され、利用した男は逆に復讐され、自業自得ですが、人を弄ぶ人間は、恐ろしい……
 由利先生がこの事件の最後に、「猟奇の果……猟奇の果……」と呟いたのが、全てを物語っています。
 タイトル、「憑かれた女」より、「猟奇の果」のほうがよかったかも?
 表題作「蝶々殺人事件」、三津木が由利先生の自宅を訪問するところから始まります。
 時代は戦後、探偵業を引退している由利先生は、奥さんと国立で暮らしていました――って、奥さん?
 由利先生、いつ結婚したの!?
 この作品で由利先生が結婚したことが書かれてますが、相手は誰!?
 と、驚愕しつつ、三津木が新聞記者だけでは食べていけないので、戦前由利先生が手掛けた事件を元に探偵小説を書くことにしたこと、事件の資料を貸してもらえないかと依頼します。
 由利先生は快く承諾し、三津木が資料を基に書いた小説が、「蝶々殺人事件」ということです。
 最初の遺体が発見されるのが、コントラバスのケースからというのが衝撃的なこの事件、読んでみて私は初めて「蝶々夫人」の主役を演じる女優が殺されたことから、この事件は「蝶々殺人事件」と呼ばれることになったと知りました。
 愛と嫉妬が次々と殺人を引き起こすのですが、驚いたのは、由利先生の奥さんがこの事件の関係者だったこと。
 それが誰なのかは、ナイショ。
 「カルメンの死」は、カルメン役を得意とする女優八千代が、情人だった豊彦が若い女と結婚する式場で、遺体となって発見された事件です。
 由利先生は奥さんの関係でこの事件に関わることになりますが、げに恐ろしきは女の嫉妬、未練が事件を招きました。
 この作品は三津木は登場しません。
 未完の「神の矢」は、『横溝正史探偵小説選V』にも収録されているのと同じ内容。
 由利先生が登場する前に中絶。
 三津木が事件に巻き込まれるところで話は終わっているので、誰か続き書いてください。
 この作品は他の雑誌に第一話だけ収録された同タイトルの改稿版で、付録としてオリジナル版の「神の矢」も収録されて、読み比べができるのが嬉しいです。
 最後に「模造殺人事件」は、あの下山事件の真似みたいな事件として、模造殺人事件と呼ばれることになった事件。
 しかし、被害者が実は二重生活をおくっていたということが発覚し、下山事件の単なる真似ではなさそう――とわかったところで、中絶。
 犯人は誰なのよー!
 被害者の甥とか養女とか、奥さんも怪しい。
 いいや、まだ登場していない人物が、犯人なのか?
 掲載誌の休刊で中絶したのが惜しまれます。



 由利先生と三津木の活躍は、主に戦前で、戦後は戦前に比べたら作品数が少ないです。
 横溝正史が金田一耕助にシフトしたのは、戦前、由利先生や三津木に戦争に賛成しているかのような姿勢を取らせたのに、戦後それを否定させて謎解きをさせるのは、違うなと思うところがあったのかもしれません。
 新しい探偵の登場が、横溝正史にも読者にも必要だったから、由利先生は引退させたのでしょう。
 金田一耕助のときより呆気ない退場ですが、ひっそり引退するのが由利先生の望みでもあったか。
 そんな気がしてなりません。
↓最後の事件
 

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