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2019年1月 5日 (土)

異形なる者たちの繰り広げる事件『由利・三津木探偵小説集成2 夜光虫』

 異形。
 それは見た目だけではなく、心のことも指す。
 
 由利先生と三津木が活躍する『由利・三津木探偵小説集成2 夜光虫』、今回も昭和初期のディープな時代を舞台に、数々の事件が収録されています。
 まず表題作の「夜光虫」、養父殺しを疑われている異形の美少年、白魚麟次郎に秘められた出自が事件の解決を導きます。
 麟次郎の肩にある人面瘡、後の金田一耕助シリーズに出てきますが、「夜光虫」のは人工的に作られたもので、手術で取り去ると、その肉塊からは、観音像が出てきた!
 その観音像が、財宝の在り処を示すもので、今回の殺人のみならず、過去の事件の真犯人まであぶりだしたのは、うまくいきすぎ?
 大団円で事件は終わり、由利先生と三津木が乾杯するのは、お約束。
 巻末に収録されている未発表の未完の同名作は、解説によると戦後に書かれたもので、戦前の「夜光虫」とは全く別物ですが、完成したらどんな内容になっていたのかしらと、気になります。
 「首吊船」は、美貌の夫人の夫を殺したのが、行方不明になっていた夫人の元恋人。
 だけど、過去に夫が犯した罪が、今回の悲劇を生んだのは、自業自得としか言いようがなく、むしろ夫殺しの犯人と夫人に同情しました。
 「薔薇と鬱金香」、鬱金香はチューリップのことですが、パソコンで鬱金香がすぐに変換できない……
 それは置いておいて、夫を殺された夫人が、五年後に再婚、幸せになるかと思いきや、夫を殺した犯人が、再び現れたことで、新たな事件が起きます。
 この犯人、名前は薔薇郎といい、真珠郎と同じようなネーミングだなぁと思いました。
 こちらの薔薇郎は、悪の化身ではなく、むしろ愛の為に無実の罪で収監されていたのでした。
 協力者に仮死状態になる薬を貰って、死んだようにみせかけて脱獄したという設定は、昭和初期のこの時代だからできたことで、昔の探偵小説あるある設定。
 現代ではこんな手で脱獄はむりだよねながら、とツッコミながら読みました。
 この話も由利先生たちの活躍で、めでたしめでたし、となるのでした。
 「焙烙の罪」、男の嫉妬は恐ろしい……
 
 「幻の女」は、まぼろしの女と呼ばれる女怪盗をめぐる話。
 子爵はまぼろしの女に脅迫されていて、証拠の手紙を取り戻すために由利先生たちが活躍します。
 まぼろしの女が誰なのか。
 読み進めていくと、初めまぼろしの女だと思っていた人物が、そうではなくて、実は他の人物だったというトリックに、うまい具合に騙された感があります。
 まぼろしの女の人物像の一部に、江戸川乱歩の黒蜥蜴のイメージが重なりました。
 「鸚鵡を飼う女」は、殺人事件の犯人とされた男の無実を明かす証拠が、歌舞伎人形に隠されていることを由利先生が見つけるのですが、中国語と鸚鵡をうまく使っているなぁと思いました。
 父を殺された遺児の復讐「花髑髏」、美しく死の匂いがするタイトルに、惹かれてしまいます。
 犯人が男だと思わせて、実は女だった。
 よくある手です。
 出生届を出す時、戸籍の性別欄に男女誤って記載されたのが原因ですが、犯人にとって復讐を実行するのに幸運だったとしかいいようがないですね。
 それにしても、犯人の悪魔的頭脳、由利先生が驚嘆するのも当然です。
 無意識の殺意が悲劇を生んだ「迷路の三人」、継母と継子の表に出ない不信感が、殺人事件を招いています。
 哀れ犠牲になったのは、継母の実子。
 運よく継子は助かり、真犯人もわかりますが、この先継母と継子は本当に仲良くできるのでしょうか。
 そんなうまいこといくわけないな。
 2巻に収録されている作品は、どれも一応めでたしめでたし?
 だけど、記されていない思いを行間からくみ取れます。
 次回は『仮面劇場』。
 いつも思うのですが、どうして月一刊行なの?
 全巻揃って出版して!
 と声を大にして言いたい。
↓美と醜と罪が、人の身も心も異形にする

由利・三津木探偵小説集成2 夜光虫

 
 
 

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