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2018年12月 7日 (金)

三島由紀夫の戯曲『若人よ甦れ・黒蜥蜴 他一篇』

 読みたかった三島由紀夫の戯曲『黒蜥蜴』が、岩波文庫で他の戯曲と合わせて刊行されました。
 学研M文庫に収められていた時は、まだ乱歩や三島作品にそれほど夢中ではなかったので、「そのうち買おう」と思っていたら、レーベル自体が廃止、他社での復刊もなく、買わなかったことを後悔していました。
 新潮社の三島由紀夫全集には収録されているようですが、ハードカバー買うと、本棚の空きがなくなると思い、躊躇していました。
 今回岩波文庫で『若人よ甦れ・黒蜥蜴 他一篇』として収録され、長い間の後悔が、やっと癒されます。
 で、「黒蜥蜴」をさっそく読んでみました。
 江戸川乱歩の原作では、女賊黒蜥蜴の男女の性別を超えた妖しさが醸し出されていましたが、三島由紀夫の戯曲では、緑川夫人として最初に登場するので、女としての魅力が前面に押し出されています。
 原作ではやや曖昧だった明智小五郎と黒蜥蜴の恋愛感情も、戯曲では緊張感のあるものに変更。
 黒蜥蜴の部下、三島と替え玉の早苗との恋が、戯曲ならではの見せ場ですね。
 偽物ゆえ恋に落ちるという展開には無理があるかなぁと思いますが、 本物とは何か、偽物とは何か、そして、美とは何かというのがこの戯曲に込められたテーマであることは、感じます。
 だって、終幕で明智は言います。
「本物の宝石は、もう死んでしまったからです」
 他の戯曲、「若人よ甦れ」は、昭和20年8月7日から26日までの出来事を描いた作品。
 突然戦争が終わり、若者たちが変化に戸惑う様子が淡々と描かれているように思えます。
 終戦を現実のものとして受け止めるまで、人によって様々ですが、タイトルの「若人よ蘇れ」は、そんな若者たちへのエールのように思えます。
 「喜びの琴」は、左翼過激派と公安との対立を描いています。
 ある事件を巡る話ですが、事件は仕組まれたものだった、真実が明らかになった時、イデオロギーや立場の違いについてうんぬん、ではなく、何に対して信頼していたのか、裏切られて憤るのかが、問題提起しているようです。
 はっきり言って、今回岩波文庫に収録された戯曲は、「黒蜥蜴」だけ面白かったです。
 他の2編は、気楽に読める作品ではないですね。
 舞台だったら、また違った印象をうけるのでしょうが。
 ところで、今回の岩波文庫に収録された作品は、3作品とも新潮社の全集が定本となっているそうですが、ここで素朴な疑問。
 なぜ新潮文庫出さなかったの?
↓映画黒蜥蜴のカバー表紙が目印
 

若人よ蘇れ・黒蜥蜴 他一篇 (岩波文庫)

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