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2018年9月24日 (月)

変成の巻あとがき

 難産の巻だった。

 いろんな意味で。

 

 もう一人の主人公誕生の巻である。

 変成の巻は、原作の無残帖の巻で明らかになるどろろの生い立ちを元に執筆したオリジナルである。

 村の名前は原作で明記されていないので、創作した。

 どろろの両親は火袋とお自夜で、戦に巻き込まれて村は焼かれ、親兄弟も殺されたという設定は原作と同じである。

 どろろは一人っ子ではなく、兄か姉かは不明だが、原作で「私のかあさんも兄弟も上の……ふたりの子供も……おまえたち侍にころされたんだ!!」と言うお自夜の台詞から、お自夜の母とどろろの姉二人を造形した。

 火袋、鼬の斎吾の家族の設定は、創作である。

 

 村人の豊作は、ヒゲオヤジのつもりで執筆した。

原作には出ていないが、手塚治虫のスターシステムを利用した。

 『ブラック・ジャック』25話「灰とダイヤモンド」で百鬼丸とヒゲオヤジは百鬼博士と松方として共演しているが、『ヤング ブラック・ジャック』無残帳編で、百鬼丸演じる百樹丸雄とヒゲオヤジの共演に歓喜した。

あの感動をもう一度、というわけではないが、『どろろ百鬼繚乱草紙』にも、ぜひヒゲオヤジを出したかった。

 ヒゲオヤジには、活躍してもらうつもりである。

 

 豊作の女房の下枝と息子の大作は、『ロック冒険記』のヒゲオヤジの妻シズエと息子大助である。

 

 原作では、景光と火袋たちには直接の関わりはない。

景光が火袋たちの村を攻めた設定は、映画と映画ノベライズを参考にした。

強いきずなで結ばれていたどろろと百鬼丸が、実は仇であったという因果を本小説でも使いたかったからである。

 

 四十八の魔物が百鬼丸から奪った体で作った子供がどろろだという設定は、『冒険王』版の設定からである。

 まさに一心同体とも言うべき主人公たちの結びつきを示す設定は、ゲーム版でも使われたが、いざ執筆する時、疑問が浮かんだ。

 男の子の百鬼丸から、どうして女の子のどろろが生まれたのか。

 単純に考えれば、男の子の体から作られたのなら、男の子が生まれる筈。

 陰陽の乱れのせいとか、色々考えてみたが、手塚作品には『リボンの騎士』や『人間ども集まれ!』などのように、両性具有のキャラクターが登場する。

 どろろも両性具有的存在であることは、中島梓を始め、多くの漫画評論家からも指摘されている。

 という訳で、どろろを両性具有者とした。

 どろろの秘密を百鬼丸が知るのは、ずっと後のことである。

 

 作中歌は、七草の歌は『万葉集』巻八の山上憶良の1537番歌「秋の野に咲きたる花を指折り数ふれば七種の花」と1538番歌「秋の花尾花葛花なでしこの花をみなえしまた藤袴朝顔の花」をアレンジした。

 まほろ村の子守歌の方は、一応オリジナルではあるが、『梁塵秘抄』や『閑吟集』、地蔵和讃などを参考にした。

 どこかで聞いたことがあるような歌詞なのは、過去に似たような歌を聞いたのだろうか。

 

 原作では無残帳の巻に1カットだけしか描かれていないが、『どろろ』といえば曼殊沙華である。

 『ヤング ブラック・ジャック』無残帖編のラストや、ウェブでファンがアップする『どろろ』のイラストで、曼珠沙華の花は、世界観を表すのに効果的に使われている。

 みをこがしの巻でも曼殊沙華は出したが、変成の巻では親子の絆を結ぶ小道具として、曼珠沙華の花びら染めをまほろ村の特産品とした。

 曼珠沙華の花びら染めについては、ネットで検索した彼岸花の草木染めを参考にした。

作中、曼珠沙華の花びら染めで真っ赤に染まるというのは、創作である。

実際は、彼岸花の花で染めると、透明感のあるピンク色となるそうだ。

 

 

 前の巻からずいぶん時間がたってしまったが、なんとか変成の巻を書いた。

 みをこがしの巻までは原作を参考にできたが、ほとんどオリジナルの話の変成の巻は、試行錯誤した。

 その最中に『どろろ』のテレビアニメ化が発表された。

 原作には書かれなかった結末まで描くという。

 となると、二次創作小説で勝手に書くことは、余計なことをしているのではないかと迷った。

書いてはやめ、やめては書いての繰り返しを続けて時間がたってしまった。

だが、先日発表されたあらすじや設定を読んでみて、心は決まった。

来年1月に放送されるアニメも、『どろろ』のファンである一流のクリエイターが手掛けるのであるから、視たら面白いと思うだろう。

だけど、満足はしない。

 これまで制作された虫プロ版アニメ、小説、ゲーム、映画、どれも面白かったが、完全に満足することはなかった。

 続編的漫画『どろろ梵』も『どろろとえんまくん』も同様である。

 10月から月刊チャンピオンREDで連載開始されるリメイク漫画『どろろと百鬼丸伝』は期待大だが、実際は読んでみないとわからない。

 そもそも、伏線を回収していなくても、話が中途半端であろうと、原作者本人が完結宣言したのだから、読者はそれを受け入れるべきである。

 それでもあえて続編を、白黒つけた結末を望む心は、どうしようもない。

 だから、私が想像した『どろろ』の物語を最後まで書き続けよう思う。

 

 

 

*参考文献

手塚治虫文庫全集『リボンの騎士 少女クラブ版』手塚治虫 講談社

 

手塚治虫文庫全集『リボンの騎士』全2巻 手塚治虫 講談社

 

手塚治虫文庫全集『人間ども集まれ!』手塚治虫 講談社

 

『捜神記』竹田晃 東洋文庫 平凡社

 

『新版万葉集 現代語訳付き』二巻 角川文庫 伊藤博役注

一五三七番・一五三八番 山上憶良の秋野の花を詠む二首より

 

『新版古今和歌集現代語訳付き』角川文庫 高田裕彦訳注

 

『梁塵秘抄』新潮日本古典集成 榎克朗校注 新潮社

 

『閑吟集 宗安小歌集』新潮日本古典集成 北川忠彦校注 新潮社

 

『図解日本の装束』井上良太 新紀元社

 

『源氏物語図典』秋山虔・小町谷照彦編 小学館

 

『イラストでわかる日本の仏さま』中経の文庫 日本の仏研究会 KADOKAWA

 

『宙ノ名前』林完次 光琳社出版

 

『「空のカタチ」の秘密』武田康男 ビジュアルだいわ文庫 大和書房

 

 

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