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2011年11月11日 (金)

よく斬れる刀のような論『揺れ動く源氏物語』感想

……ケンカ売ってるの?

『揺れ動く源氏物語』を読んで、真っ先に思ったのが、この感想。

散逸桜人や巣守についての論文が収録されているので、読むのを楽しみに購入したのですが、論理的、かつ挑発的な論文に、おもしろいんですけど、問答無用でばっさばっさ斬ってる印象を持ちました。

とくに、小学館や新潮社の古典全集編集者や注釈者に対する切り口が、バッサバッサと斬ってます。

私たちがなじみのある源氏本は、大島本を底本としている、角川ソフィア文庫、新潮日本古典集成、新編日本古典文学全集などがです。
でも、筆写は、他の写本では、本文の違いによって、登場人物の言動や心理、設定などにも違いがみられることを指摘しています。
その一部を紹介しますと、匂宮巻で、大島本では匂宮が二条院、女一の宮が六条院の春の町東の対に住んでいる。この設定は、一般に知られた設定です。
でも、保坂本という写本では、匂宮は二条院だけではなく、六条院春の町東の対にも住んでいることになっています。女一の宮の説明がないです。
さらに、穂久邇本では、二条院に住むのは女一の宮で、匂宮は、六条院に住んでいることになっています。

主要人物の住まいの設定が、写本によって違うというのは、わかってはいるけれど、普段深く考えていなかった、大島本が正しいと思い込んでいた私には、新鮮な発見でした。
そういえば、夕霧の子供たちも、写本によって、大君の母が雲居雁だったり、藤典侍だったりします。
『源氏物語』よりも本文異同が著しい『狭衣物語』なんかは、写本によって、堀川関白が故院の二の宮、五の宮、十の宮だったりしますものね。

写本によって、脱文もあれば異文もあるのが物語です。
筆者は、日本古典文学全集や新潮日本古典文学全集ばかり見て、それが『源氏物語』だと盲信することへの注意を書いています。

散逸桜人と巣守についての考察は、思ったほどページを割いてはいなかったのですが、これまでの研究を整理し、断片資料などをまとめてあって、わかりやすく読むことができました。

自論に自信が無ければ、こうも切り口鋭い論文は書けないだろうな、というのが私の感想です。

↓オリジナルという幻想を捨てる

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